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■ 銀行家
2006. 8.13

銀行員って、何が楽しくて働いているんだろう・・・って思うことがあった。3ヶ月間くらいにまたがるあまり後味の良い話ではないのだが、まとめてみた。

ある人の「連帯保証人」になっていた。
その人が借金を完済する前に亡くなってしまった。
さらに悪いことに、その人の財産相続でもめているらしく、返済が滞っているので、連帯保証人の方で支払って欲しいと、貸した銀行が言ってきた。

財産があるから相続でもめるんだ。あるところからもらえばいいじゃないか、と言ったが、その銀行の支店長と次長は、法律を持ち出した。民法454条に、連帯保証人には「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」はない、だから借りた人に財産があろうとなかろうと、支払いが滞ったときは、連帯保証人が支払う義務があるのだ、と言う。払った後、財産相続人へ「立て替えた分を返してくれ」と言う権利はある、と言う話だった。連帯保証人は借主と同じだという考え。日本独自のこの「連帯保証人」というシステム。これによって、自殺する人も多いわけだが、本質はどこにあるんだろう。結局貸した銀行を守るための法律のように思えてならない。国民を馬鹿にした法律である。
連帯保証人になる人が悪いと言う人もいるけれど、人間生きている以上、そういう場面に出くわすことは避けられない。

と言って、あ~そうですかと、だまって支払うのも癪に障る。財産相続の裁判は2年はかかるという話。まったく、世の中、金が絡むと血縁も何もなくなる。突然の死の場合、なおさらだ。

弁護士に相談しに行くことにした。
結果は一緒。連帯保証人になった以上、支払う義務はあります。でもその額を、故人の財産を受け継いだ人に請求することもできます。そうなったとして、財産分与がどうなるかによって、数人の相続人にその割合に応じて金額を請求しなければならず、とても煩雑になりそうですね、と最悪の事態も告げられることになる。

頭の痛い話だった。

一度に払うのは無理だと言うと、銀行は当方も顧客なのでまとまったお金を準備すると言ってきた。それを故人の債務の完済に充てて、あとはローンを組んで返していけばいいと。

故人の通帳に完済できるだけの金額が残っているなら、それで相殺できないんですか、と聞くが、支店が違うからわからないとか、裁判になっているので口座の出し入れを止められているとか、言い逃れをしてきた。同じ銀行の中で、顧客の預金がいくらあるのかも調べられないのか。まったく、銀行ってどうかしてる。
故人の奥さんに連絡をしたが、なかなか連絡もとれず、「放っておいてください」と言われるばかり。
放っておいたらどうなるんだと銀行へ聞くと、連帯保証人の財産を差し押さえることになる、ときた。

頭にきたので放っておいたら、県の保証人協会というところから呼び出しが来た。故人が銀行から借金をするさい、ここも絡んでいたらしい。
話は先の銀行家と一緒。連帯保証人には支払う義務がある。応対したのはイヤミなおじさんで早々に協会を後にする。

それから何日たった頃だろうか、銀行から通知が来た。「督促状」と書いてある中身には、前回払ってくれと言われた額の10分の1の金額が書かれていた。
なんで減額になったのか、こちらが一度に払えないと言ったから、すでに分割にした金額を送ってきたのか、意味がわからなかったので、送り主の銀行へ電話をかけた。
すると、故人の預金残高と相殺してそれでも足りなかった分を連帯保証人さんへ請求しました、と来た。
あれほど、故人の預金残高はわからないとか、口座の出し入れは止められているとか言っていたくせに、連帯保証人が払わないとみるや、半強制的に相殺したのか。汚いやり方だ。
極め付けが一銀行員の言った「それくらいの金額なら、支払えるでしょう。ごたごたするよりも払ってしまった方がすっきりするんじゃありませんか」
そのときは、金額が10分の1になったということで、「そうですね」と、思わず言ってしまった。
あとは、保証人協会が代弁債してますので、そちらと話し合ってください。ということだった。つまり銀行はもう債務が終わった以上、係わらないということ。
その後、保証人協会というところの担当者が代わった。電話だけだが話しやすそうな人だった。
「連帯保証人の義務も法律もわかっている。でも故人の奥さんは支払わないとは言ってないんです。財産相続が片付いたら支払う、待ってくれと言われているのに、待ってあげられないんですか」と強く言った。
なんとかこちらの立場もわかってくれたようで、先に故人の奥さんと話をつけるから、と言ってくれた。

その後、督促状は来なくなった。
が、事の成り行きも、まったくみえない。
ある日また、督促状がくるかもしれない。

人の心なんか持ってない自分の会社の利益のみを追求する銀行とはできれば縁をきりたい。
もしくは、ちゃんと顧客のことを考えた銀行に早く登場してきて欲しい、と本当に思う。
死ななくてもいい人が、この瞬間にも自殺している。
連帯保証人になったがために。


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