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■ 田舎暮らしの不勧め
2007. 5. 9

最近、「老後は田舎で」とか「退職金で田舎の一軒家を借りて庭で自給自足を」とか、耳にします。老後の田舎暮らしを肯定するようなテレビ番組もあります。でも、第二の人生決める前によ~く考えなければなりませんぞ。

 そもそも、今まで街の暮らしに慣れてきた人たちが、コンビニも街灯もない田舎に住めるのか。夜になると真っ暗ですよ。「星がきれい」と感動するのはほんの数日。人工灯に慣れた人には真っ暗って不気味です。
 そして、田舎には近くに病院がないです。今まで都会の病院や口コミで名医と言われてる医者に罹っていた人たちが、田舎の診療所に罹れますか。救急車を呼んだとしても、町立や村立の病院で、重い病気なら遠い街の病院へ転院です。重い病気と診断してもらえればまだいいでしょう。
即・手術が必要なのになんとかなると判断されて点滴につながれて・・・・じゃ笑い話にもなりません。老後に病気はつきものです。そういうリスクを先ず考えましょう。
 確かに野菜は自分で作れば無農薬の野菜だってできるでしょう。でも、夏の草刈、水やりは、老人には重労働です。ずっと農家をやってきた人でも「来年はもうやめようか・・・」とつぶやきます。
 家を借りる場所を探すとき、不動産屋は良いことしか言わないでしょう。が、そこを突っ込んで町内会費、その他諸経費、なども聞き出すことです。ちなみにうちは町内会費1500円/月、神社の修理費と言っては寄付を要求されます。田舎の集落に神社ってつきものなんですよね。親戚の家なんて神社の修理が必要な時は町内会費3000円/月も集められていたそうです。ここでよそ者が文句は言えません。なんと言っても田舎は和を尊ぶ人の集まりですから。
 消防団なんてものもあります。団員ほとんどがサラリーマンで災害の際ほんとに助けてくれるのか疑問に思います。その活動費も私たちの町内会費で払っています。聞いた話によると、飲み食い・女遊びまでこの町内会費で賄っているそうです。それくらいしないと今の若いやつが入るわけがない・・・・と、元・消防団長が話してました。新婚の奥さんが、だんなが消防団の忘年会で風俗に行ったと泣いてました。年度末の会計報告では、もちろんこの消防団費、領収書なんて出さず当たり前のように支出として計上されてます。議員と一緒ですね。
 秋にはどこの田舎でもお祭りがあります。豊作を祝ってだか願ってだか・・・新米がとれたあとだから、祝ってのほうかな。神社で神楽なんてやってるとこもあるわけです。高千穂神社みたいに歴史のある大規模なものならわかります。たった人口数十人の村で老人たちが篠笛や太鼓をたたいて、見てる人は家族だけ。なんだか寂しくなります。そこまでしてやらなきゃいけないのか・・・って。
 田舎では娯楽がないので飲むことだけが楽しみです。今日はあっちの家、明日はこっちの家、飲むイベントならどこでも出かけていきます。アルハラなんて言葉は聞いたこともない人たちばかりなので人に酒を勧めるのも強引です。
 集落のまとめ役が考えることと言えば、町や村からどうやって補助金を引き出すかです。 それも自分たちが飲むお金に消えるわけです。人口が減って集まる町内会費が減っても来年度の予算は変わらずです。いずれマイナスになることは目に見えているのにやってることは国の予算編成と同じです。
 どこかの町民が「市町村合併したのはいいけど、補助金が出なくなったじゃないか!」と怒っていました。なんでも合併する前は町内で働く人には月5万円の奨励金だか補助金だかが出ていたそうです。聞いてびっくり、今までの方がありえないです。でもこの町民は真剣に怒っていました。こんな人がたくさんいるから地方行政なんて成り立たないんです。どうなってんの?この国は。
昔から田舎に残るのは大体が長男で、ほんとは弟たちみたいに都会で働いて稼ぎたいのに長男に生まれたばっかりに百姓をしなきゃいけない、家を継がなきゃいけない・・・そんな不遇の時代を生きてきたのが今の老人たちです。考え方が卑屈になっているのかもしれません。
 ま、その他にもいろんな習慣があって、理解に苦しむことが多々あると思います。だから田舎の過疎化は進むわけで、ほんとに楽しい田舎暮らしが待っているのなら、田舎が過疎化になるはずないです。
 少子化、老人化、過疎化、逃れられない田舎の未来です。
田舎の老人たちは、都会へ出て行った子供たちが帰ってこないから、田舎の将来なんてどうでもいいわけです。だから行政に群がって喰いつくしてしまいたいんです。自分たちが生きているあいだ飲み食いできればいいわけです。

 さあ、これから田舎に住もうと思ってる街の方々、ほんとによく考えてください。
 良い田舎を見つけてください。


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