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■ やれるだけのことは、やりました
2008. 5.30

こういう行政のやり方には疑問を感じる。

全国の自治体病院(市立・町立・公立病院)が、赤字経営を余儀なくされる事実は、少し知識のある人なら「仕方ないね」と言う。
なぜ?
理由は簡単。民間の病院・クリニックは、お金のない患者は診ない。
地域の中核自治体病院を退院できるまでに回復して、あとは診療所に診てもらおうとしても、「お支払いは滞ってない方ですか?」と聞かれる。
「えぇ実は今、患者さんはこの病気のためにお仕事を休職しておられ、当院の医療費も分割でお支払いしていただいております」
な~んて言おうものなら、その理由ははっきり言わなくても「ただいま満床で・・・」とかいろんな理由をつけて民間の医療機関は患者の受け入れを断ってくる。

どうしたものか。

これも時代の流れなのか。

一般の診療所・クリニックが、何の補助金もなしに、支払いが滞るであろう患者をボランティア精神で受け入れるはずもなく・・・。
中には、一般常識の「家族」という枠からはずれた夫婦・親子もいたりして。
患者の障害年金で暮らしておきながら、医療費を払わないどころか、入院すると決まった患者に、着替えも持たせず入院させたりする配偶者もいる。
そんなとき自治体病院は?
入院する経緯に関係のある部署の数人ではあるが、家からその人に合うサイズの衣服を持ってくる。こんな苦労を自治体病院の存在する地域の市民が知ってる?市役所の保護課・福祉課が知っているのだろうか?
障害年金を、毎月だか隔月だか知らないけれど渡している行政は、
「やれるだけのことはやりました」
と言うわけだ。
「やれるだけのこと」ってなんだろうね。
不思議・・・
あとは、殺人事件でも起きなければその不可解な一家のために動く人は誰もいない。
赤字に苦しむ病院が、それも一部の担当者が、イライラ・ハラハラしてるだけ。

たとえば出産に伴い出産のために市町村から妊婦にだされる助成金。
これは、各自治体で対応が異なり、ある市町村は、母親が出産した病院へ直接お金を入金する。
が、ある市町村では、出生届けを市役所に出しにきた母親に手渡され、母親が病院へ入金に行く・・というシステム。
母親がその35万円に目がくらみ、自分のお金だと財布に入れたら最後
医療機関は取り立てるしかない。
「使ってしまったので払えない」
常識では考えられないこんな理由を述べる母親もいる。
医療費の助成金は患者ではなく、医療機関に直接支払われるように全国の自治体が統一してほしい。

こんなふうだから、自治体病院が黒字になるはずがない。
地域の不・採算部門を担っているのは、お金のない患者を断れない「自治体病院」
断ろうものなら、「診療拒否!」ってマスコミから叩かれ、
医局にお歳暮でももらおうものなら、公務員としてあるまじき行為だって収賄で逮捕される。

公立病院やそこで働く関係者を叩くのも良いけど、その先にあるもの、その地域の人の必要性も考えてみて欲しいな。

行政とマスコミ
二つがタッグを組んで動けば、世論は動きそうな気がするけど。


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