玉名ラーメン物語

ライバル

2006.04.11


 玉名観光協会が3年前から発行している「玉名GOGO(ゴーゴーマップ」。市内の名所旧跡を網羅した観光パンフレットだ。
 この中で「いっこく」(立願寺)「雲龍軒」(山田)「中王」(中)など市内の有名店を紹介したところ「ラーメンマップ」として大評判。休日には、マップを手にした観光客も多い。「市内各所の案内所などに置いているが、市外からの問い合わせもある」(同協会)という。
 熱心なファンに支えられる店は、今日も独自の味を求めしのぎを削る。
 「灰汁(あく)も重要な味。スープの灰汁抜きはしません」。天琴に次ぐ老舗で、創業43年の「桃苑」(繁根木)の井本弘之さん(52)はその秘密を明かす。豚の関節とあばら骨でつくるスープは、それぞれ2時間煮込んだ「一番出し」から「四番出し」まで四種。それを組み合わせて、独特の深みとまろやかさを出す。
 高瀬の飲食店街にある「千龍」は、中嶋龍一さん(49)が、「桃苑」で20年間働いていた母と1979年に開いた。親戚関係の店だ。3時間強火で煮出した塩気の効いたスープに、揚げた白ネギの香りが絶妙。「いくらレシピを教えても、うちの味はマネできない」(龍一さん)と自信をのぞかせる。
 豚骨のクセが特徴の桃苑や千龍、天琴などに対し、それをほとんど感じないのが「博竜」(立願寺)。82年、渡辺章さん(50)が温泉街の一角で始めた。「だしは豚の頭骨だけ。最初の2時間煮込んた湯は全部捨て、一から煮込み直すことで臭みが消える」という。 「玉龍」(岩崎)も豚の頭だけを使ったスープだが、「うちは体重が50㌔程度の若い豚だけ」とは店主の五郎丸守さん(65)。71年にオープンだ。食べた後、独特の丸み、甘みが残る。
 店はそれぞれ個性を競い、独自の味を求める。それに応えるように客の側もそれぞれひいきの店を持つ。
 市職員の中林貴子さん(36)は「小さい時はファミリーレストランも少なく、家族で外食と言えばラーメンだった。そのせいか今も親せきの子たちとよく行きますね」。どの店も、家族連れが多いのも玉名の特徴だ。

写真:夕食時、若者など多くの客でにぎわう玉名市の専門店。家族連れの多いのも特徴だ。

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