共同創作童話

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「ともとも島」★第一部★

2005.7.17


未来、未来、南国のパラダイス、「ともとも島」に、
ともっちという若者が住んでおりました。
ある日、ともっちは、朝から釣り糸を垂れ、お魚が来るのを
待っていたのですが、海は静かで何もかかりません。
でも、何も釣れなくても、ともっちは、ちっとも困りませんでした。
南国とはいえ、未来のお話。
ともとも島では、食べ物には不自由しないのです。
ここには、野菜、果物、ジュース、
そして、アイスクリームの成る木だってあります。
ともっちは、たまたま「お魚」が食べたくなっただけでした。

ともっちは魚をあきらめて、砂浜を歩き始めました。
この何不自由もない島に実は不自由を感じ始めていたのです。
ふと、浜辺の向こうから友人のいなっちが歩いてきました。
「おーい、いなっち!」と、ともっちは叫びました。
いなっちは、直ぐに反応すると「おー!、ともっち!!」と言いながら、
駆け寄ってきました。
「何か、元気がないね?」とは、いなっち。
「うん。。。何かね、つまらん」と、ともっちが言う。
「そうね・・・。さっき、そこで変なモンを見つけたよ」言いながら、
いなっちは汗をかき始めていました。
それを見逃さないともっちは「それは、どこで見つけたの?」と、
目を輝かせていなっちに詰め寄ります。

いなっちが見つけたモノは、これまで彼らが見たことも無い形をしていました。

「いなっち、こら、なんだろね?」
ともっちは、興味津々の顔で、いなっちの顔をのぞき込みます。
「さ~、なんだろう?見たことないね」
いなっちも、答えに困り、苦笑しています。
その物体は、透明に近い白色で、何角形と呼んで良いのか
わからないほど、多角形のかたちで、お日様にあてると
なんと!天女のような女の人の姿が浮かび上がってくることがわかりました。

おどろく事にその天女が何かを伝えてるようです。
いなっちもともっちも意味がわからず日の暮れる前に村にもどり
ふみっち&コロッちの姉弟に相談しました。
ふみっち『なんね、私に似たようなこの天女は?』
コロッち『姉ちゃん?』

ふみっち「これは確か、私が昔ばあちゃんから聞いた”天女の奇跡”??」
コロっち「姉ちゃん、”天女の奇跡”って?」
ふみっち「これは、代々、ともとも島に伝わる魔法の石で、この石を持ったものは、
大金持ちになり、一生、遊んで暮らせるという石・・・。間違いない。」
コロっち「でも姉ちゃん、この島は今でも充分パラダイス。みんな遊んで暮らしよ~バイ」
ふみっち「うん。そうだね。でもこの石を持つと、魔術にかかったように、幸せな気分になり、
何もしたくなくなり、寿命もなくなると・・・」
コロっち「寿命がなくなるって?」
ふみっち「死なない・・・いや、死ねないってことかな」

「死ねな~~い!!」
ともっち、いなっち、コロっちは同時に声を挙げて、尻餅をつきました。
「さあ、皆付いておいで」と言って、ふみっち姐はさっさと家を出て行きました。
尻餅をついていた3人も急いで立ち上がり、ふみっち姐の後を追いました。

ふみっち姐が向かったのは、ともとも島の長老「あっそう次郎」さんのお宅だったのです。
門柱にある呼び鈴を押すと「ワンワン!」と犬の吠える声が聞こえます。
暫くすると「あっそう卑弥呼」さんが愛犬クロを従えて、門まで来てくれました。
ふみっち姐が手に持った「謎の石」を見せ、「あっそう次郎」さんに会いたいと言うと、
快く門を開けてくれました。

長老のあっそう次郎さんは、ちょうどこれから午後のお祈りを捧げるところで、
「この祈りが終わるまで、ちょっと待っていてくれんか」と、みんなに告げ、
祈りの部屋に入って行きました。
ふみっち姐と、ともっち、いなっち、コロっちは、おしゃべりもせず、でも、
これから何が起こるのだろう?というからだの底の方から、わき出す気持ちを抑えきれず、
そわそわと待ちました。

10分も過ぎたころ、あっそう次郎長老が再びみんなの前に現れました。
「待たせて悪かったの」長老は、いつも紺色のバンダナのようなものを頭に巻き、
妻のあっそう卑弥呼作のゆったりとした着物を着て、
インディアンの血をひくかと思われる風貌です。
さすがに、近寄りがたい空気が漂っています。

三人は畳の上に正座をし、じっと、あっそう次郎長老の方を向きました。
ふみっち姐が、石を見せようとすると、不思議なことに「おまえたちの話は、全てわかっておる。
今、そのことで、ともとも島の神にお伺いをたてて、お祈りをしてきたところじゃ」と、
あっそう次郎長老は言い出しました。
四人は、きょとんとした目つきになりました。


第二部へとつづく!

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