共同創作童話

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ムカちゅうのズック

2005.7.17


ムカデのおかあさんは、子供がそろそろ歩けるようになったので、
この子に靴を買おうと思いました。
でも、ムカデシューズショップには、同じ柄の靴が20足しか
置いてなくて、とてもとても足りません。
なんと言ってもムカデには、50足の靴が必要です。
それでも可愛い子供の足に怪我をさせるワケにはいきません。
お店にあるスニーカーや下駄、長靴、スリッパ・・・
あらゆる履物を50足買い込んで帰りました。
さてさて子供の反応は・・・?
子供の「ムカちゅう」は大喜びでした。何と言っても色んな種類の
履物を一度に履けるからです。
早速、「ムカちゅう」は外に飛び出していきました。
しか~し、歩くたびに「カラ~ンコロ~ン」とか「パタパタ」という履物の音がうるさくて、
獲物である小さい虫たちが早々といなくなり、周りを見回すと
いつの間にか「ムカちゅう」一人ぼっちになっていました。
そんなムカちゅうを見たムカデのおかあさんは、
やっぱり全部「ムカデ用ズック」にすればよかった・・・と、
1人悩んでおりました。
すると、ムカデのおとうさんが、仕事から帰ってきて
「ムカちゅうの様子が変だが?」と、ムカデのおかあさんに
尋ねてきました。
ムカデのおかあさんから話を聞いたムカデのおとうさんは、
「よしわかった。私がなんとかしよう」と、草むらへ出かけていきました。
ムカデのおとうさんは、一生懸命そこいらの草を集め、
縄をなうように、ムカちゅう用のぞうりを編んでいきました。
さすがムカデ父さんです。
器用に100本の足を使って、次々に草履を完成させていきました。
「さぁ、ムカちゅう。これを履いてごらん。」
「わぁい、パパありがとう!明日はホームランだ」
ムカちゅうは、一生懸命草履に足を通して行きます。
そうして、最後の草履を履き終わると、また元気に外へ飛び出して行きました。
「あなた、ありがとう」
「あぁ、ムカちゅうが喜んでくれて良かったよ」
ムカちゅうは他のムカデの子供達に、お父さんに作ってもらった草履を
自慢げに見せてまわりましたとさ。
おしまい。

by 文:コロ犬、たまりん、ふみっち  絵:tomo1954

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