共同創作童話

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「ともとも島」★第三部(月の精)★

2005.7.18


ふみっち姐が言いました。
「さあ、どうする?みんなで一緒に島の精の場所をひとつひとつ探すか、手分けして探す・・・」
「やだやだ!手分けして探すなんて!1人じゃ怖いよ!!」
いなっちが、ふみっち姐がまだ言い終わらないうちに言葉をはさみました。そうとう怖いようです、ぶるぶると震えています。
ともっち:「いなっち、相手は魔物じゃないんだよ。島の精。
この島を崩壊させない為に協力してくれるに決まってる」
いなっち:「でも・・・」
コロっち:「ふみっち姐ちゃん、僕も"みんな一緒に行く"に、1票!」
ふみっち姐:「ともっちはどう?」
ともっち:「おら、どがんでんよか」

みんなすっころびそうになりました。

ふみっち姐:「じゃ、決まり。みんなで力を合わせて、ひとつひとつ、順番に探しましょう。じゃこれ、あっそう卑弥呼さんからいただいた焼きたてのピザ。これを食べて出発ね!」

あっそう卑弥呼さんが作ったピザはとても美味しかったので、皆はあっと言う間に平らげてしまいました。

外は雨でした。雨といっても、未来の島。降っているのは葡萄です。
長老あっそう次郎さんなんかは、雨の日を楽しみにしています。そうです、その日は降ってきた葡萄で作った赤ワインをしこたま飲むんですから。

西北西の「異国の浜」を目指して、四人は旅立ちました。勿論、葡萄雨を避けながらですが・・・
一週間しか猶予がないこの冒険の旅。グズグズしていたら、「ともとも島」が崩壊してしまいます。

ふみっち姐は皆に激を飛ばします。
「グズグズしとると、皆不幸になるったい! 早よせんといかんばい!!」
「わかっとる」ともっちが言う。
「だけん、おやつは300円までにしてきたけん」とは、いなっち。「でも、あの手羽先は持ってきたかった・・・」
「どげんでんよかばってん、早よいこう」コロっちが叫びました。


一行は何とか「異国の浜」の入り口に辿り着きました。

「おーここが「異国の浜」の入り口か」いなっちが言います。
「思っていたより、何だか普通の海に見えるね」コロっち。
「でも、ここの海に”月の精”が居られるんだよね」ともっち。
「そうそう」と、全員が頷く。

「異国の浜」の突端までは長い長い白浜が続きます。
ふみっち一行は、歩きづらい砂浜を一歩一歩、歩いていきました。

「どこに”月の精”なんかおらすとやろ?」ともっちが、呟きました。
「ほんなこつ何処におらすとやろね?」コロっちが相槌を打ちます。
「とにかく、浜の先端まで行って考えましょう」ふみっちが冷静に答えます。
その時、少し離れたところを歩いていた、いなっちが
「おーい、あそこに誰かおるばい!」と、叫びました。
皆が駆け寄って、いなっちの指差す方向を見ました。
そこには、海の上に浮かんでいる一人の女性が居ました。

「あなたは、海に浮かぶ”月の精”でしょうか?」ふみっちが問いかけました。
「・・・そうです。私が”月の精:さくら”です」
「さくら?」皆は一斉に叫びました。
「私はあなた達が来るのを待っていました。葡萄雨が降っても、さくらんぼ雨が降っても、待っていました」
「そうですか。”月の精:さくら”様。それでしたら、私達の望んでいるものを渡してもらえませんか?」
「”天女の奇跡”の破片ですね」
「そうです」
「持っていくが良い。これが”天女の奇跡”じゃぁ~」
”月の精:さくら”は、海に向かって”天女の奇跡”をばら撒きました。
「ふぉっふぉっふぉっふぉっ・・・その中から本モノの”天女の奇跡”を探し出すのじゃ」

「なんですと!」
四人は、ばら撒かれた”天女の奇跡”のようなモノを片っ端から拾って確かめ始めました。
しかし、いくら探しても”天女の奇跡”は見つかりません。

「”月の精:さくら”様、本当にこの中に”天女の奇跡”はあるのでしょうか?」ふみっちが問いかけました。
「ふぉっふぉっふぉっふぉっ、見つかりませんか? それは、お前達が焦っているからじゃぁないのか?
ようく、ひとつひとつ確かめることじゃ」

散々、探しあぐねた四人は一休みすることにしました。
「ふみっち姉ちゃん、ほんとにこん中にあるとやろか?」コロっちが根を上げます。
「なかっちゃないと? あん”月の精:さくら”様は、俺たちばだまくらかしよっとやなかろか?」と、いなっち。
「・・・・・」

その時です、休みもせずに一生懸命に探していたともっちが叫びました。
「おー! これやなかと!!」
皆は、急いでともっちのもとに駆け寄りました。
「おー、正しくこれが”天女の奇跡”」
「よくやったね! ともっち!」

「ありがとうございます。”月の精:さくら”様!」皆で、声を揃えて言いました。
「そうじゃ、何事も成せば成る。あきらめない事である。ではでは・・・」

ふみっち一行は、満足して次の精を求めて、歩き出しました。

「ねぇ、何か忘れてない?」コロっちが言いました。
「何かって、何ね?」ふみっち。
「思いだせんばってん、何か忘れとる・・・」
「光る砂! やろ。それなら、さっき”月の精:さくら”様の辺りで拾ってきたバイ」いなっちが言います。
「何で、そげんか大事なこつば黙っとると!」ふみっちが怒りながら言いました。
「ごめん。。。」
「まあよかよか。これで、一つ目の宿題をクリアしたったい」ともっちが歌うように言いました。

「いなっち、光る砂ばこぼすとでけんけん、この瓶に入れとかんね」と、コロっちが用意してきたガラスの瓶を手渡します。
それに入れると、光る砂はますます輝きを放ち、七色に光って見えます。
みんな宝石を見るような目で、うっとり見つめてしまいました。

ふと我に返ったふみっちが、
「さあ!急がないと!私たちには時間がないわ。次は、神秘の森だったわね」
と、みんなをせかし、次の目的地へ向かいました。

第四部へとつづく!

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