共同創作童話

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「ともとも島」★番外(OWL先生)★

2005.7.21


いつもは村の学校まで通って来てくれています”OWL先生”のお宅を訪問するのは、みんな初めてです。
どんな所に住んでおられるのか、興味津々です。

ふみっちがソーラーカーを呼んで、”OWL先生自宅”と入力し、【START】ボタンを押しました。
ソーラーカーは猛スピードで”神秘の森”を走り出しました。そう、「スターウォーズ」の乗り物みたいに・・・
幸い、敵のようなモノは現れませんでした。助かった?

深い森を抜けると、100坪くらいの草原に出ました。森の真ん中にポッカリと出来た小島のような草原です。
その真ん中に一本の大木があります。
ソーラーカーは、その大木の傍らでエンジンを止めました。
「でっかい木だなぁ~」見上げながら、いなっちが言いました。
「お~い! こっちにハシゴがあるばい」と、大木の周りを一回りしていたともっちが叫びます。
みんなは、そのハシゴを登り始めました。

ハシゴを登り終えるとドアがあります。
ふみっちが3回ドアをノックしますが、返事がありません。どうしようかと4人は相談しました。
「あれ? ドアが開くばい」と、言ったのはコロっちです。
「何で?」みんなはビックリ。
でも、開くドアなら入らないほうが失礼でしょう、とばかりにドヤドヤと部屋に入って行きました。

部屋の中は20畳ほどの広さでした。
左側がカウンターになっていて、右側にテーブルとソファのセットが置いてあります。
カウンター奥には水槽が置かれ、その中には金色のザリガニが2匹、金色の土筆を食べていました。
「なんね、ここは? スナックのごたるね?」いなっち。
「OWL先生な、酒好きやもんね」ともっち。
「OWL先生は、何処にいっとらすとやろ?」コロっち。
その時です、ドアの開く音がしました。
4人が一斉にドアの方を見遣りました。
そこには・・・・・
ふくろうの縫いぐるみを着たOWL先生が立っていました。

「あ!OWL先生、ドアをノックしたのですが、御返事がなかったもので・・・」
と、ふみっちはぺこりと頭を下げました。
「かまわん。わたしは今、かんちゃんと水浴びをしていたところだ」
OWL先生は、ペットのカラスを指さしてそう言います。
かんちゃんと呼ばれるそのカラスはまさしくカラスの濡れ羽色。
羽はワックスをかけたように輝いております。
「ちわ!」カラスのかんちゃんは一声出してみせました。
「うわ!喋った!」四人は驚きの表情です。
みんながあまりにも驚いたので、かんちゃんはそれ以上喋りませんでした。
「OWL先生、実は・・・」
と、ともっちがこれまでのいきさつを全て話し、
「OWL先生に、動物の言葉を教えてもらったおかげで、
ここまで来られました」とお礼の挨拶をしました。
「よくやった。未来の島では、人間と動物が会話するのは
普通なのじゃ。今はそこへ至るまでの過渡期。そのうち、全人類が、動物の言葉を理解するようになるであろう」
「ところでOWL先生、その縫いぐるみはなんですか?」
と、いなっちがおそるおそる聞いてみた。
「これか?ふくろうは、とても神経質な鳥だと知っておるか?
ふくろうと親しくなるには、それなりの格好が必要なのだ」
「な~んだ」
「なにか言ったか?いなっち」
「いえ、なにも・・・」
「ところで、せっかく来たのだから、おいしいアイスクリームでも食べて行くとよい」
「わ~い!!」
四人は大喜びです。

OWL先生手作りの特製アイスクリームを四人はとても美味しく戴きました。
「ご馳走様でした♪」四人は声を揃えて、OWL先生に言いました。
「気に入ってもらって、良かった。これから、最後の”天女の奇跡”を求めて旅に出るのかな?」
「はい」ふみっちが答えます。
「うむ。「眠らない湖」はここ「神秘の森」より危険が多いぞ」
「どういうことでしょうか?」
「ここ「神秘の森」の動植物は心が優しい。人に危害を与えないのだ。しかし、「眠らない湖」には人に危害を与えるモノが多く生息する」
「え~っ!」四人はビックリして、ひっくり返りそうになりました。

「行くのやめようか?」コロっちが弱音を吐きます。
「うん。行ったら大変な目にあいそう」いなっちも相槌を打ちます。
「なんば言いよっとね! ともとも島を守らんないかんたい」ふみっちが言います。
「そうそう、乗りかかった船ばい。最後まで頑張ろう!」ともっち。

「そうじゃそうじゃ。その意気で頑張れ」OWL先生が励まします。「こいつを連れて行くが良い」
と、カラスのかんちゃんを指差して言いました。「きっと、役に立つと思うぞ!」
言われた、カラスのかんちゃんはきょとんとしてします。
(え~、こいつを連れて行くの?)いなっちが心で思っていたら、
「そげんこと言わんで連れて行け!」と、かんちゃんが人間の言葉でしゃべります。
「!?」いなっちビックリ。
「私は人の心も読めるとばい」
「すごい!!」四人はまたビックリして、ひっくり返りました。


大木の根元に停めていましたソーラーカーに四人と一羽が乗り込みました。
カラスのかんちゃんが、「このソーラーカーはホンマの車やん」と言います。
「そうたい、ホンマ車たい」ともっち。
「ホンマ車は好きたい」かんちゃんが言ったと同時に発車しました。

「OWL先~生! 必ず最後の”天女の奇跡”を持って帰ってきますけんね~」
みんなで、OWL先生に別れを告げました。
そして、危険が多い「眠らない湖」を目指してソーラーカーはスピードを上げるのでした。

第五部へとつづく!

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